真夏の雑木林に異変あり
かっぱの楽校 生き物講座128
今年の夏はとりわけ暑かったですね。暑いなかでも、僕は6月の半ばから蚊に刺されながら、市内の雑木林を巡回生き物ウォッチングに励んでいました。
そんな中で、ここ数年ぼんやりと気が付いていた事に確信を持ちました。それは、市内及び近郊のクワガタが、ほとんど全てと言っていい位にノコギリクワガタばかりになってしまった事です。2020年まではヒラタクワガタは元々希少でしたが、コクワガタとノコギリクワガタがほぼ同数位で、苦も無く観察出来ていました。今年はなんと、コクワガタはおそらく越冬個体だろうと思われる、脚が欠損した個体が1頭だけしか確認できませんでした。ヒラタクワガタに関しては、ここ3年程全く見かけていません。しかし、20年くらい前までは、東村山では希少だった大型のノコギリクワガタが、とても容易に観察出来るようになりました。
この変化の理由を考えてみました。あくまでも僕の感覚的な推論ですが、一つは、もともと他のクワガタに比べて、ノコギリクワガタは暑さに強い種であるだろうという事。もう一つは、コクワガタに比べて大型なので、餌場の確保競争で優位に立てる。この2点が考えられます。更にもう一つ考えられるのは市内の農家のシラカシの屋敷林とクヌギ、コナラの雑木林の絶対面積が減り、ノコギリクワガタとコクワガタの棲み分けが難しくなった事も考えられます。
もう一つ、雑木林で気が付いた事として、カナブンをほとんど見かけなくなりました。樹液に集まっているのは、ほぼ皆シロテンハナムグリです。考えられる理由は、カナブンの幼虫が育つためのクズの群落を、市内でほとんど見かけなくなった事が考えられます。
環境に人為的変化によって生き物の多様性が失われるということは、きっと同じ生き物である人間にとっても住みにくくなっている事には変わりありません。
今年の夏はどこも冷房をフル稼働じゃないと居られない。おかげで室外機の排熱をばらまいてしまいました。つくづく悪循環だな~と不安を感じてしまったこの夏でした。(中谷)