環境省は鹿児島県・奄美大島の瀬戸内町内の河川に生育していた特定外来生物の水草オオフサモが、駆除作業により根絶された可能性が高いと発表した。地点限定ながら奄美での外来植物根絶の成功例は初めて。同省は成功した手法を参考に他の地域での駆除作業に取り組む。
同省によると、オオフサモは同町では河川と水路の2カ所で生育が確認されている。駆除作業した河川では群落が3カ所(計約44平方メートル)あり、環境省、県、同町が連携し2021年3月から町民のボランティア作業などで駆除を始めた。
作業はオオフサモを抜き取った後、根を含む土も深さ数十センチまで掘り下げて除去。残った根の断片からも生育するため、断片が水に流されるのを防ぐネットも張って丁寧に取り除いた。7回の駆除作業後、同年7月中旬以後1年間、確認作業を繰り返したが、生育は確認されなかった。
同省奄美野生生物保護センターは、世界自然遺産の奄美大島の価値を保全するためにも特定外来生物対策を重要視。センターの阿部慎太郎所長は「丁寧な防除をやることで根絶も視野に入ってくる。関係機関と連携しながら島から外来生物をなくしたい」。
オオフサモは南アメリカ原産。国内には水槽などの水草として移入され、廃棄などで広がったとされている。在来種を覆い生息地を奪うことなどから06年に国が特定外来生物に指定。栽培や野外放出などを規制している。島内では11カ所の河川や道路沿い、水田などで生育が確認されている。(奄美通信員・神田和明) 朝日デジタル記事